フリーランスやスタートアップ企業に最適なWEB環境を構築するサービス&費用
フリーランスや中小企業クラスに最適なグループウェア環境・WEB環境構築の一例として独自ドメインでSSL対応のWEBサイトを持ち、Gmailで独自ドメインのメールアドレスを運用するためのサービスと費用を解説します。
ビジネスを行う上でWEBサイトやメールアドレスの用意は必須です。よくある「誰でも出来る」「無料で揃える」といった内容ではなく、フリーランスとしても企業としても恥ずかしくなく、一定のセキュリティレベルや拡張性を確保した状態で、費用も極力抑えることをポイントとしていますので、業務環境構築を必要投資と考えられる方のみお読みいただければ幸いです。
当記事では費用感やポイントに絞って記載していますので、環境実現のための各種設定方法はサービス提供会社のヘルプや当サイトの別ページを参照ください。
目次
最適なWEB環境とは
過去多くの企業の立ち上げサポートとして登記・社内インフラ整備・VI作成・WEBサイト作成・名刺作成など起業初期に必要な準備のすべてを請け負ってきた経験から、安心してオススメ出来るサービスを絞り込んでいます。
ここで解説する「最適なWEB環境」とは、独自ドメインでWEBサイトを持ち、SEO対策および利用者の安全を考慮してSSLに対応させ、使い勝手の良いグループウェアで業務効率をあげつつ、独自ドメインのメールアドレスを使えるようにすることを指します。なるべく少ないツールで構築し運用保守の手間も最小限に抑えます。
ツールと費用感
使用するツールと年間の費用感です。大抵キャンペーン等で割引されていますが、更新のタイミングで通常料金になるケースが大半のため、現実的な費用として1年更新した場合の費用を記載します。
- Google Workspace <Business Starter>(旧Google Suite)
用途:グループウェア・メールサーバ
年額:8,160円 - お名前.com
用途:ドメイン
年額:.com 1,408円 / .jp 3,124円 / .co.jp - Xserver
用途:WEBサーバ
年額:13,200円
上記構成(.com想定)で年間22,768円、月額換算では1,879円になります。続いて各ツールのメリットを紹介しますので、月額2,000円弱の費用を捻出するだけの価値があるかご判断ください。
Google Workspace(旧Google Suite)
Google Workspaceではビジネスに必要な大半の機能を賄えます。運用保守にあまり手がかからず、初期設定さえ済ませてしまえば楽に多くの機能を使うことが出来るのは大きなメリットです。ここでは説明しませんが、アクセス解析やSEO対策などWEB戦略において使用必須となる各種ツールもGoogleのサービスを使用することが多いため、親和性や一元管理も含めて考えるとGoogle Workspace一択となります。
特にGmailの迷惑メールフィルターは素晴らしく、オンライン上で社用アドレスの運用を開始すると爆発的に増える迷惑メールを自動で振り分けてくれるため、ストレスが大幅に軽減されます。
使用可能なツール
サービス名 | 機能概要 |
---|---|
Gmail | 迷惑メールに強い高機能メーラー |
Meet | ビデオ会議 |
チャット | 高機能チャット |
カレンダー | 会議室予約とも連携出来るカレンダー |
ドライブ | クラウドストレージ |
ドキュメント | 文章作成ツール(Microsoft Word代わり) |
スプレッドシート | 表計算ツール(Microsoft Excel代わり) |
スライド | プレゼンツール(Microsoft Powerpoint代わり) |
フォーム | アンケートツール |
サイト | 簡易WEBサイト作成 |
Currents | 社内SNS |
Keep | メモ |
Jamboard | 共同作業に適したホワイトボード |
管理コンソール | 組織管理用ツール |
プランの違い
Google Workspaceにはいくつかのプランがありますが、中小規模の組織においては「Business Starter」で充分です。1アカウント当たりのストレージ容量が30GBのため、データをクラウドで運用したい場合は容量が2TBと多い上位プラン「Business Standard」を選ばれても良いかもしれませんが、「Business Starter」の個別アカウントに対し追加料金で容量アップさせることも可能なので、まずは 「Business Starter」 で始め、必要に応じてストレージ追加やプラン変更を検討することをオススメします。
- Business Starter
月額680円(税込)・年額8,160円(税込)/1アカウントあたり - Business Standard
月額1,360円(税込)・年額16,320円(税込)/1アカウントあたり
申し込み
サービスを申し込むにはこちらからGoogle Workspaceのプラン一覧ページに移動の後、希望のプランを選び案内に沿って申し込みを進めてください。まず試してみたいという場合は14日間の無料試用も用意されていますので、そちらを活用ください。ただし、社用ドメインで運用・管理するための一部機能は正式版以降後でしか扱えないものもありますので、ご注意ください。
Google Workspaceの申し込みを代理店経由で行うと割引を受けることが可能な場合がありますが、代理店への費用などが別途発生する場合もありますので、検討したい場合はご自身でお調べください。現在私は代理店業務は行っておりませんが、初年度を10%割引でご利用いただけるプロモーションコードをご用意していますので、少しでも費用を抑えたい場合はご活用ください。
プラン | 初年度10%引きコード |
---|---|
Business Starter | T9D36UYGLQRECKA |
Business Standard | V3UE6E9MEX94J4P |
お名前.com
ドメインを取得・管理するためのレジストラです。同様のサービスは多数あり、GoogleもGoogle Domainsというサービスを提供しています。よほど多くのドメインを保有しない限りレジストラでの作業頻度は高くないため、正直取得したいドメインの取得費用や更新費用を軸に決めても良いと考えます。
私が「お名前.com」を選択している理由ですが、仕事上クライアントからドメイン取得と管理の代行を依頼されるケースが多いため、契約が終わりクライアントへドメイン運用をお返しする際に、余りドメインに詳しくなくても環境を維持出来るよう他のレジストラと比べてサポートが優秀なお名前.comを選んでいます。また、質問が来ても対応しやすいよう、クライアントと同じレジストラを使い続けています。
お名前.comはサポートは優秀なもののインターフェースが少々使い辛いです。シンプルな操作感を重視するならばGoogle Domainsが良いですが、JPドメインが少々高めになっている特長があります。また、後述するレンタルサーバサービスのXserverでもドメインの取得・管理が可能です。サーバ申し込みの際永久無料でドメインを一つ取得できるキャンペーンを実施している時もあるので、ドメインを未取得の場合はXserverでまとめてしまうのがお得です。
ドメインは「移管」という手続きでレジストラを変更することが可能なため、あまり深く考え込まず選択しても問題ありません。
ドメイン種類と費用の違い
「.co.jp」や「.com」などのドメインを見かけることが多いと思いますが、これらはトップレベルドメインと呼ばれるもので、種類が約1,500程あります。「.jp」「.us」といった国を示すものや、「.tokyo」といった地域を示すもの、商用サイトを示す「.com」や非営利団体用の「.org」など、多種多様なドメインがあり、サイトの内容に応じて選べるようになっています。
取得に制約のあるドメインもあり、企業サイトで利用されることが多い「.co.jp」は日本国内に登記がある必要があるため、個人事業主など登記簿の提出が出来ない場合は取得が出来ません。また、日本語でURLが用意出来る「日本語ドメイン」というものもありますが、日本語ドメインを使うための仕組みとして裏側にランダムな英数字を用いたドメインが生成されており、それを表示だけ日本語に置き換えて使うといった特殊な特性のため、そもそもそのような前提がされていないプログラムで思わぬトラブルを発生させる場合もあります。
オススメドメインと費用
ドメインの取得上限はないので、同名でトップレベルドメイン違いを複数取得し、同じサイトに転送されるようにしたり、企業用サイトはこのドメイン、物販サイトはこのドメイン、と使い分けることも可能です。特にトップレベルドメイン違いはドメインの入力ミスでも無事サイトへ誘導することを可能にするなどメリットもあるため、維持費と照らして複数取得も検討されると良いでしょう。
ドメイン | 概要とオススメ用途 | 年間維持費 |
---|---|---|
.jp | 日本 企業サイト向き | 3,124円 |
.co.jp | 日本国内に登記のある法人限定 企業サイト向き | 5,720円 |
.ac.jp | 日本の教育機関専用 | 5,720円 |
.tokyo | 都道府県型ドメイン 47都道府県分のドメインがある 地域密着型企業など | 1,628円 |
.com | 由来:commercial 物販サイト向き | 1,408円 |
.biz | 由来:bussiness 企業サイト向き | 1,738円 |
.net | 由来:network ネット関連の企業やサービス向き | 1,628円 |
.tv | ツバル国ドメイン TV(テレビ)と読めるので動画サイトなど で人気 | 4,378円 |
基本的には「.jp」や「.com」などメジャーなドメインをオススメしますが、組織やサービスの名称などに合わせ意図的にマイナードメインを選ぶというアイデアもあります。例えば既にサービス終了しているものの「google」が提供していた短縮アドレスサービスでは「.gl」(デンマーク自治領グリーンランド国用ドメイン)を活用し「goo.gl」という「グーグル」と読めるアドレスを使用していました。国別ドメインはその国内に連絡先があることをルールとしていますが、証明書などが必要になるわけでも無いため、費用や名称優先で使用されているのが実態です。
種類が多くて迷う場合、法人であればまず「.co.jp」の取得を検討されると良いでしょう。既に法人成りさせている場合は説明不要と思いますが、以前は同じ地域内では似ている名前の会社は登録できない、記号やアルファベットは使用出来ない、といったルールがありました。現在はそれらの制約が無いため同名の企業が発生する可能性が増えており、後から使いたいのに使えない、といったケースを防ぐには先に取得してしまうか、ドメインを買い取る以外の方法が無いため、法人かつ社名にこだわりがあるのであれば最初に検討をオススメします。法人でない場合は「.jp」や「.com」などの使用をまず検討すると良いでしょう。
申し込み
ドメイン申し込みの際はまず使用したい名称に対して希望のドメインが空いているかを確認します。今回オススメしている「お名前.com」は頻繁にキャンペーンを行っており、初年度1円で取得できる場合もあります。大抵2年度以降は通常料金になるため、複数取得する場合は2年目以降の更新費も必ず確認しましょう。
ドメインの申し込みで一つ注意があります。ドメイン取得には取得者情報を登録・開示する必要があり、これらを「Whois情報」という形式で世界中から自由に参照することが出来るようになっています。自宅兼事務所でビジネスを行っている場合など、全世界に個人名と住所、連絡先を公開したくない場合は、ドメインレジストラの情報を代わりに表示させる「Whois情報公開代行」といったサービスも同時に申し込む必要があります。
お名前.comでもこのサービスを用意しており、通常年1,000円程度で使用できるほか、こちらもキャンペーンで0円になっているタイミングも多いので、申し込み時には要チェックです。
Xserver
Xserver(エックスサーバー)とはサーバという名前の通りレンタルサーバサービスです。安価なWEBサーバを提供しているサービスはほかにも「ロリポップ!」「さくらのレンタルサーバ」などがありますが、2社と比較すると少し費用が高いもののサービス内容と高速性を含めて考えた場合コスパに優れたレンタルサーバです。
他に選択肢のあるドメインレジストラと違いレンタルサーバは 後述する理由から Xserverを選ぶ必要があります。
SSL証明書取得(httpsでのサイト運用)
現在GoogleではSSL対応のサイト評価を上げる仕様となっており、検索時の掲載順位を上げるSEOの観点からAOSSL(Always on SSL)対応のWEBサイト運用が望ましいです。SSL対応させるためにはSSL証明書の発行機関から証明書を入手しますが、大手発行機関の証明書は年間5~10万円程の費用が掛かるため、顧客情報などを取り扱うECサイトなどはともかく、企業サイトやサービス紹介サイト等セキュリティを重視しないWEBサイトにとってはコスパがとても悪くなります。そこで、レンタルサーバが用意した共用SSLを使用することでSSL証明書の維持費を0円に抑えます。
自分で証明書を発行する自己署名証明書(通称:オレオレ証明書)という方法もありますが、初期取得などに少々ハードルがあります。自己証明は自分で自分を証明するというセキュリティ観点から少し意味のない状態となるため、一部ブラウザでは警告が出る場合もありオススメは出来ません。手間も少しで費用の掛からないレンタルサーバの証明書を活用しましょう。
SSL証明書を用意出来れば「http」ではなく「https」でのサイト運用が可能になります。httpとhttpsは別物として扱われるため、httpのURLにアクセスした場合自動的にhttpsにリダイレクト(転送)する必要があります。
ドメインとサーバの紐づけ
ドメインとWEBサーバを紐づけるため、ドメインのAレコードというものをXserverの指定するVALUE(値)に設定する必要があります。また、メールはGoogle Workspaceで運用するため、MXレコードをGoogleの指定するVALUEに設定します。
先述のロリポップ!等のサーバでも共用SSLのサービスは用意されており、いずれも独自ドメインで無料運用も可能ですが、メールをGoogle Workspaceで運用しつつAOSSLサーバを運用しようとした際、 Xserver以外の安価サーバではリダイレクトを伴うAOSSLとしての使用が出来ません。理由については別記事で解説予定ですが、この要因があるため、安価サーバの中では少し費用が増えたとしてもXserverを選ぶ必要があります。
申し込み
まずサイトのトップページにてキャンペーンの有無を確認すると良いでしょう。頻繁にキャンペーンを行っており、サーバ月額費の割引や同時にドメイン取得でドメイン費用が0円といった内容を行っている場合もあります。既にドメインを取得して不要な場合でも、同名でドメイン違いを取得しておき転送用に使うなどすると最大限キャンペーンを活用出来ます。