写真やグラフィックに入れるサイン(署名)の作り方
写真やグラフィックなどの制作物に使うサイン(署名)の作り方を簡単に解説します。ここでは自分の作品にサインを入れたいけどどのようにサインを作ればよいか思いつかない人向けに内容をまとめています。サインをデジタル化するといった具体的な手順は別途解説予定ですので、そちらを知りたい方は少々お待ちください。
目次
表示名を考える
まず最初にどのような名前でサインを作るかを決めます。例えば私は昔はクリエイターネームとして「朧」(おぼろ)という名称を使用しており、そのまま漢字として「朧」を使用したり英字の「OBORO」を使用していました。最近は本名で活動していることが多いので「Hideaki」という表記を使用しています。このように自分をどのような名称で示すか決めましょう。
クリエイターネームと呼ぶとハードルが高く感じる方もいるようですが、単純にハンドルネームや、よく使うID名と同じ感覚でも問題ありません。
形式を考える
主にフォントを使用する、手書きサインを使用する、落款印(らっかんいん)を使用する、マークを使用する、といった形式があり、自分をどのように表現したいかを考えます。
落款印という名称は聞きなれない方が多いかもしれませんが、簡単に言うと日本画や書道の作品に押される判子のことです。落款印もいくつか種類がありますが、署名としての意味合いとしては姓名印・雅号印あたりが該当します。ここでは深堀せず単純に落款印として呼称します。
先述の通り「朧」のクリエイターネームを使用していた際は納まりの良さから落款印形式のサインを使用しており、その後本名を使いだしてからはフォントを使用したサイン、そして現在は手書きサインへと変化しています。
どれが良い悪いというわけではなく、自分が使いたいと感じることを最優先に直感で決めても良いでしょう。
落款印
最初に考えた表示名が漢字であれば親和性が高いので、落款印を検討するのがオススメです。手書きとなるとハードルが上がりますが、和文フォントで入力したものを四角で囲っただけでもそれっぽく見えます。印としてフォントを考えた場合、吉相体(きっそうたい)、篆書体(てんしょたい)、隷書体(れいしょたい)、古印体(こいんたい)などを使用すると見栄えが良くなります。
マーク・シンボル・ロゴ
サインとして自分を示すシンボルマークを入れる選択肢もあります。個人よりも主に企業や団体などの作品で使われる傾向がありますが、ルールがあるわけではないので、使いたいマークがあるのであれば検討してみてはいかがでしょうか。
少し注意として、特定の意図でグループ化した作品を取りまとめて名称を付け、その際にマークも作成するというケースがあります。この場合作品グループとしてのマークと、サインとしてのマーク両方が共存してくることになるので、見た目が煩くなりがちです。
フォント
一番簡単なのがフォントをそのままサイン代わりに使用する方法です。英字フォントとなると世界中で膨大な数のフォントが公開されているので、自分の好みに合うものがきっと見つかるでしょう。むしろ種類がありすぎて決められない可能性もあるので、まずはフォントの分類である明朝体(セリフ)、ゴシック体(サンセリフ)、筆記体、手書き風など絞ってから探すのが良いかもしれません。
フォント書体をそのまま生かすのも良いですが、一部を変形させてオリジナリティを出すのもオススメです。
フォントを使う際の注意点として、自分の作品を商用利用することが分かっている場合、フォントのライセンスが商用利用を許可しているものを使用したほうが思わぬトラブルにならずに済みます。また、フリーフォントに多いのですが、商用利用を許可していても、ロゴやシンボルとしての組み込みを別途禁止しているものもあります。サインとして使うケースはシンボルとして使うケースと同じように判断されることがあるため、必ずライセンスは確認しましょう。
手書き
ひとによって一番簡単だったり、難しいものが手書きサインで、オリジナル性という点では説明するまでもなく一番です。
日本人の感覚では英字サインのほうがカッコよく見え、かといって英字サインを使い慣れている人も少ないため、いざサインを考えようとしてもなかなか思いつかないかもしれません。その際にオススメなのはまずは最初の一文字目を如何に特徴的に描けるかを考えるとその先を考え易くなります。
それでもその一文字目すら思いつかない場合は、おそらく英字サイン自体をあまり見たことがないためだと思いますので、まずはひたすら見ることから始めるべきです。Googleの画像検索を使って「signature」といった単語で検索すると色々なサインを見ることができます。なお、「サイン」という単語をそのまま「sign」として検索すると標識が検索されるので注意しましょう。
どうしても思いつかない場合はいっそサインを依頼してしまうという方法もあります。私は依頼したことがないので特定の会社を紹介はしませんが、「サイン オーダーメイド」などで検索すればいくつかの会社が見つかります。
Youtube上でもサインの書き方解説しているものもありますので、それらも参考になるでしょう。
私を例にすると、まず「Hideaki」の「H」について考えました。直線がいいのか、曲線がいいのか、どれくらい崩すか・・・。ページ最上部にひたすら書きなぐっている際の写真を使っていますが、書いているうちに徐々に自分が書きやすく、気に入る形状が見えてきます。ある程度候補が出来てきたら次は頭文字に続く字のうち分解するか、まとめるかを考えます。具体的には私は自分の名前の中に「idea(アイデア)」という単語が入っており、それをサインにも生かしたいと考えました。そこから「H」「idea」「ki」と分けることにし、いっそ「H」と「ki」はまとめてしまうことにしました。
ここまで決めたらあとは最初に出来た候補と混ぜながら書きなぐり、徐々に納まりの良い形を見つけてゆきました。
念のために記載しますが、もし普段の署名等で使うためのサインを考えた場合は当記事のようにデジタルデータでオンライン公開するのはやめておいたほうが無難です。私はオンラインで使う前提でデジタル化しており、普段の署名とは別物にしていますのでご注意ください。
サインの必要性
著作権法的にサインが必要かどうか、という点では実のところ必要性はありません。
ここまで解説しておいてと思うかもしれませんが、日本は著作権に関する国際条約であるベルヌ条約に加盟しており、ベルヌ条約では作品を作成した時点で自動的に著作権の権利が保護されるという無方式主義となるため、何ら表記も手続きも行わずとも著作権が保護されます。
サインは自分の作品であることを示す記号の意味合いとして使用し、著作権保護とは切り離して考えましょう。
なお、無方式主義の対となる方式主義では「©」の記号、「最初の発行年」 「著作権保有者名」 の3つを表記することで著作権が保護されます。このような表記はWEBサイトやデザイン物など至るところで見かけますが、実際に効力として期待しているというよりページの権利保有者をわかりやすく伝えることと、デザイン的に入れておくとカッコいいので入れている、という側面が強いです。
あとがき
作品にサインを入れることでより愛着が増したり、サインを入れるのだからより良い作品を作ろうという熱意に変わることもあります。このページがサインを考えるにあたり、少しでも参考になれば幸いです。